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  • 二子渉

「考えない」が正しいのはどんなとき?

更新日:8月12日

世の中には、よく考えた方がいいという声もあれば、あんまり考えない方がいいという声もあります。


身体的なエクササイズ、ダンスや武道などでは、下手したら考えちゃいけないみたいに思っちゃう場面もあります。スピリチュアルなトレーニングとかでも。


考えるべきところで考えなかったら、現実的に物事に対処できないこともあるし、考えな

ていいことを考え続けていたら、全く自分らしい選択ができなくなることもあります。

そんなわけで、「考える」ことの意味を整理して理解しておくのは、人生を構築する上で僕はとっても重要だと思っているのです。


***


まずすごく単純で重要な話として、思考には2種類あります。少なくとも。


その1 自分で考えようとして考えてる思考。意図と目的を持って主体的に考えるものです。

その2 勝手に向こうから「やってくる思考」。何かのきっかけで始まって、それに飲まれるような思考です。


このイベントを成功させるためには、どのタイミングでどんなアクションがあるとしっかりと組み上がるんだろう、みたいに考えるのが「自分で考えてる」っていうもの。


そうして考えている最中に、そういえばイベント会場近くに元彼に振られたカフェがあるんだった、って思い出して、あの時の元彼はひどかった、今でも文句言いたくなる、ん〜〜、でもあれって私の問題だったのかな、どうすれば良かったんだろう・・・、みたいになってるのが「やってくる思考」です。


この思考は自動的に始まって、無自覚な反応で流されていきますが、注意を持って行かれてしまいます。この思考に飲み込まれているときは、ほぼほぼ生産的なことはできないのがわかりますよね。


他にもいろいろあります。


テレビ見てて芸能人の不倫報道が目に入って、コメンテーターがエラそうに不倫した芸能人のことを批判してるのを聞いてたら、腹が立ってきて「あんた本人たちの何を知ってるというんだよ」みたいに思ったり、これだからテレビはオワコンとか言われるんだよ、みたいに思考の流れに飲み込まれるとか。

忙しい彼との関係にもやもやしていて、なんでLINEスタンプひとつも送れないのだろう、そもそも私のことは大切じゃないのかな、本当に時間が作れないんだろうか、みたいな思考に飲み込まれるとか。


こういう思考の流れに飲み込まれていても、何も人生に良きものはもたらされない。


自分から意図を持って考えているわけじゃない。

何か傷を刺激されて、そこから自動的な思考が始まって、乗っ取られているだけ。


なんなら「本当に時間作れないの?」と尋ねるとかもそうです。「そうなんだよ、時間取るのが難しくって」って答えが返ってきても、「あーそうなんだ、スッキリした」とかならないじゃないですか。


何かを目指した思考の中で、必要な情報をとりにいく質問ではなくて、「やってくる思考」の延長で聞かずにはいられなくなっただけ。これはむしろ害の方が大きいくらいです。


ここまでは、まあそうだよなと思っていただけるのではないでしょうか。


***


上の例くらいに極端だったら区別しやすいのですが、実際にはこの二つの思考の境界線はもうちょっと見極めにくいものだったりします。


たとえば。


うちみたいなパートナーシップや男女の心理学の講座か何かにでるとするでしょ。

そこでこんな質問をする人がいるとする。

「私はもっとなんでも話せる関係がいいと思っていて、そう伝えてもいるんですよ。でも私の彼はコミュニケーションをとるのを嫌がるんです。こういうことを私の友達に相談しても、男性って結構そういう感じだよ、とか言われるんです。ほんとに男性ってそういうものなんですか?」


これは一見、自分から考えたり知ろうとしているような雰囲気なんですけれど、僕だったらかなり慎重に答えるだろう質問です。


ほんとにこの人はこんなことを知りたいのだろうか。知ったら満足なのだろうか。知ったらこの人の人生は良くなるんだろうか。どう思いますか。


ま、これだけでは微妙で、「まあ、たしかに男性は女性よりはコミュニケーション苦手な人が多いですし、自分の内面を語りたいとか、相手の内面を聞きたいというニーズも大してないんですよ。その話に付き合うのは楽しくないし、苦痛のこともあるかもしれませんね。」って答えを得た後が重要。


講師のことをすごく信頼していて、「まあそうなら一旦その説を採用してやり方を変えてみよう」と思ったり、そのためにどうしたらいいか考え始めるなら、それは自分から考えに行ってる。きっと良きものがもたらされる。


でも仮に、「やっぱり納得いかない」とか「そうかもしれないけど、この先生も私の気持ちをわかってくれない」とかなるだけだったら聞く意味ないですよね。この場合は、質問の動機がそもそも、やってくる思考とか、トラウマ反応みたいなものなの。これじゃどこにも辿り着かない。


***


そんなわけでですよ。


何かを考えたり、何かを知ろうとしたりするときに、


・目的(願い)があって意図を持っているのか

・目的意識はあんまりなくて勝手に思考が始まったり、なんか聞かずにはいられなくなって聞いているだけなのか


というのが大きな分かれ道なのです。


これを知ることで、何を得たいのか。どんな未来を得たいのか。

これを考えることで、何を得たいのか。どんな未来を得たいのか。


なんかぐるぐるし始めたら、そこに意識を向けてあげられるといいかもしれません。


そしてもし、これどこにもいかない思考に飲まれてるだけだな、と気づいたら、それ以上その思考を紡がないことをきめる。きっかけの傷の深さがそれほどでもなければ、そのときはそれで終わる。


傷が疼くならまたすぐ始まるけれど、何度も手放す。自分の中心を取り戻すために。


ま、ほんとは普段から、自分は本当はどうしたいのか、何を得たいのか、と意識的になれてたらそれが最高なんですけれど。


***


いかがでしたでしょうか。


続けなくていい思考は、トレーニングで手放せる(紡がずに済む)ようになります。

そしたらその空いたスペースとエネルギーが、あなたほんらいの願いのために使えるようになるのです。


僕は20代のある時、「考えないことを選ぶ」「思考を停止する」っていうことを身につけて、たぶん同時期に「言語を使わずに思考する」みたいなことも身につけて、「思考」をめぐるスタンスが激変しました。

そういう話も面白いのでしたかった気もするけれど、うまくつながらなかったのでまた今度(笑)。



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