静かにインパクトのあった思い出があります。
もう10年以上も前のこと。
僕は銀座にある心療内科で心理カウンセラーをやっていまして、ときどき大きい病院からもカウンセリングだけの紹介がありました。心療内科や精神科のドクターの診察はその病院でやるので、カウンセリングをお願いします、っていう感じで。
で、とっても有名な病院からの紹介でいらしたクライエントさんと、年単位でカウンセリングしていたことがあったのですが。
そのクライエントさんがだいぶ調子を取り戻してきた時に、その大きな病院のドクターから言われたこととして、僕に伝えてくれた言葉がその後も大きな支えになっているの。
その時に言われたのは、およそこんなようなこと。
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「二子先生、病院のドクターがこんなことを言っていたんですよ。
『カウンセリング受けてる人の中には、短い期間に劇的に良くなったように見える人もいる。けれどそういう経過には安心できないところがある。あなたは時間はかかっているように思うかもしれないけれど、波がありながらも確実に良くなってきている。そういうふうに関われるカウンセラーはとても腕がいいと思います。』」
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当時の僕は、あんまりそういうふうに意識したことはなくて、ただ目の前の仕事を一生懸命やっていました。
でもそう言われてみて、「ううむ。確かに。これはもっと意識的になっていいところだ。」って僕も唸らされまして。
いやもちろん、そもそものクライエントさんの状態にもよるから、いつでも当てはまる話じゃないんだけれどね。
まあでもそれ以来、本質的で確実な変容が起こるような法則を、より一層研究して大事にしてきたわけ。
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それから10年以上経って、今、GFLの講座でアーリートラウマを扱っているとですね、ほんと、丁寧にやることでじわじわと確実に変わる。
変化に気づかないまま何ヶ月か経った時に、ふと振り返るとかつての自分との違いに驚く、みたいなことがよく起こります。よく起こる。
GFL中級講座っていうのを今やっていて、みんな自分劇場にハマったり、仲間の助けでそこから抜け出してきたりしながら進んでいます。
で、それははたから見ると一見すごく地味な作業。
中級に来ているくらいの人たちにとっては、かなりおもしろいんだけれど、端から見るとね、地味なの。
衝撃的な気づきがあって、号泣して、今日から世界が変わりました!みたいな派手さはない。
ふと気づいたら、あんなに怖かったパートナーの不機嫌な顔を、普通にみて会話ができるようになってる、とか。
こういうことができなかったがために不本意な現実創造が起こるっていうやつ。
その現実創造の分かれ道が、まさにこの瞬間なのだ、っていうところが変化する。
そうすると決してもうリバウンドしないな、ほんとうに世界が変わったんだな、っていう状態になる。
今思ったけれど、あーちゃんが新しいことができるようになるのにも似ている、不可逆で確実な変化。
中級講座が後半に入ってから、そういう報告を聞かせてくれる受講生さんが毎月何人もいて、そのたびにほんとこころ震えます。講師が毎月泣く講座(笑)。
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そんなわけで、あの時の思い出と今がつながって、しみじみしたっていう話でした。
読んでくださってありがとうございます。
(写真は1ヶ月以上前だけれどご近所の紅葉)
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