結婚3.0からみる沈黙の艦隊
- 二子渉
- 7 日前
- 読了時間: 7分
『沈黙の艦隊』の実写版第二弾「北極海大海戦」。
去年映画館でやってたのがAmazon Primeで配信開始になったので見ました。
そしてその後半で「結婚3.0」の観点から見ておおおおっ!と興味深かった部分があるので、そのシェアをしようと思います。
この先はストーリーについてネタバレが含まれますので、お気をつけください。
しかもだいぶ長い・・・。
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さて、この『沈黙の艦隊』という作品をご存知ですか?
もう何十年も前に大ヒットした漫画が原作なんですけれども、世界平和の実現の仕方を世に問うた、大好きな作品です。
ざっくりあらすじを言うと。
日米共同で最新鋭原子力推進潜水艦を、原子力潜水艦を開発したというところから始まります。一応アメリカ軍の艦隊に所属なんだけれども、クルーは日本人という潜水艦。
めちゃめちゃ性能が高くて、艦長もめちゃめちゃ優秀な日本人。
日本でバレたら非核三原則とかいろいろあって大変なことになるということで、極秘プロジェクト。
その潜水艦がですね、着任早々、アメリカの艦隊から脱走します。それで、日本もアメリカも大慌てになるんですよね。
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なぜ脱走したのかというと、その艦長、海江田史郎っていう艦長が、ものすごい大きな計画を実は持っているっていう話なんです。その計画っていうのが少しずつ、ストーリーの中で明らかにされていく。
その中身は、どこか一国が世界の警察をやるんじゃなくて、あらゆる国家から中立な、だけども実力行使ができるような、そういう軍隊が世界の警察を引き受けるべきであると。その具体案を持っているから、日本が呼びかけて開催することになった国連総会に自分も参加します、と。
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とはいえですね、もともとアメリカ軍だった潜水艦が脱走してるわけなので、アメリカ政府はなんとしてでも捕まえるか沈めるかしなきゃ気が済まない。実は捕まえ損ねて大損害を出していることもあって、あれはテロリストだ、もう沈めるしかない、となってる。
でも日本の政府としては、乗員は日本人だし、言ってることに関しては一定の理があるっていうことでですね、日本の中は政治的な動きが活性化してくるっていう、そういうお話です。
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今回の北極海大海戦では、北極海でアメリカの潜水艦と激闘を生き残った後、海江田艦長たちはついにニューヨーク沖まで来る。
そこで起こることが結婚3.0あるいはGFLの観点から見て、おおおおおっ!ていうやつだったんですよ。
ここはまさに緊迫の場面。もう少しでアメリカ領海に入るっていう、そこの場面で。
アメリカ軍からは「そちらの船は今領海侵犯しようとしている。直ちに停船してこの海域から去りなさい」っていう警告を発する。
それに対して、「我々は国連への出席を希望している。戦闘の意思はない。入国許可を願う。」みたいなことを言いながら前進する。
そしていよいよの時に海江田艦長は部下たちに対して、こんなセリフを言います。
「これより我々の意思を通す。」
そして潜水艦一隻と米国大艦隊の戦闘が始まる。
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このシーンには実はシーズン1の時に張ってある伏線があります。
シーズン1のセリフの中で、海江田艦長と副長(部下)とのやりとりの中で「戦闘とは何であるか」って尋ねるシーンがあるんですよね。副長が答えるのが
「我が意思達成を敵に強要することを目的とした実力行使であります。」
って答える。
自分の意思を達成するぞと。それを敵に強要するための実力行使、武力行使、それを戦闘っていうのだ。そういう会話がありまして。それを踏まえてのこのニューヨーク沖の艦隊戦になるわけです。
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さて潜水艦って外を目では見れない作りになってるわけです。どうやって外の状況を把握するかというと、音で外側の状況を判断する。そういうクルーのチームがあるわけなんです。ずっとヘッドホンかけながら、いろんな音を聞き取って、外で何が起こってるか全部把握していくっていう、そういうシステム。とてつもない職人芸です。
そして、ただ聞き耳を立てるっていうやり方と並行して、アクティブソナーと言って、こちらから音をカーンと発射させて、相手の船からコーンと跳ね返ってくる、その反響音で相手の位置を知る仕組みがあります。
これはかなり確実に相手の場所がわかる一方で、どこからその音が発信されたかってことを特定されてしまうので、自分の位置を相手に晒すリスクを取っての行動になります。
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艦隊戦が始まって潜水艦が、敵の戦艦ロックオンしましたとなったところで、
「発射」って海江田艦長が言う。
すると、通常だったらそこで魚雷を発射してその敵艦を沈める。
ところがここでは「発射」でアクティブソナーを撃つんですよね。カーンって。
最初アメリカ軍の方はですね、何が起こってるのか、ちょっと意味がわからない。しばらくすると次の船にもカーンってアクティブソナーが当たる音が聞こえる。次々アクティブソナーだけを当てられている。
これは軍隊の演習の時に、おまえを確実に撃沈できる場所を取ったぞっていうことを示す際に同じことをやるのだそうです。アメリカ軍の中の上級将校で、本当に立派な軍人さんとかは、その意味が分かってくる。
アメリカ軍は、潜水艦に向けてバンバンミサイルやら魚雷やら撃ち込むんだけれども、潜水艦側はアクティブソナーしか撃ってこない。魚雷持ってるにも関わらず、それは撃たない。
そして次々、この艦はソナーが当たったので撃沈扱い、とやり続ける。でも自分がここにいるってことを晒しながらやっていくので、潜水艦側も相当攻撃されてボロボロになってくるわけなんですよね。
その様子をアメリカ大統領も全部リアルタイムで把握していて、だんだんとですね、「これでは我々だけが戦闘を望んでるみたいじゃないか。」って葛藤し始めるんですよ。
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で、さっきのセリフに戻るんですけれども、戦闘っていうのは、
我が意思達成を敵に強要することを目的とした実力行使
なわけですよ。
でね、どこが結婚3.0的かっていうと、ニューヨークで平和のための国連の会議に出る。それはもう日程も決まってるから、この日までに行く必要がある。その意思に関しては絶対に達成するべくベストを尽くす。
アメリカ第艦隊がいたからといって撤退したりとか、無期限に話し合えるまで待つとかじゃなくて、その日までに必ず国連総会に行くのだっていう意思達成をしようとはしている。
ただ、「それを敵に強要することを目的とした実力行使」はしない。
だから「戦闘の意思はない」。最初から言いましたよね、と。
自分の希望、それも自分だけの希望というよりは、自分と相手と全てを含んだ世界のためになすべきことをなす、その意志ははっきりと行動を通して、「ある」ことにし続けながら、でも戦わない。艦隊と渡り合えるレベルの強力な武力を持っているけれど。
それをやってるシーンなんですよね。
これがですね、結婚3.0を築く上でで本当に必要な、最重要な部分なんですよ。自分の気持ちとか自分の要望とかを「ないことにはしない」。ここにあるんだよって置き続ける。
でも戦わないように最善を尽くしていく。
相手はもしかしたら反応的になりながら攻撃しかけてくるかもしれない。
もちろん実際には、僕らはその時に反応的に「実力行使して強要」しちゃうこともある。逆に、そこで諦めて自分の意志や思いや願いを引っ込めてしまって、もうないことにしちゃうっていうこともあるわけですよ。現実的には、そういうことはたくさんある。
だけれども、目指したらいいこととしては、
「私はこうなんです。」
「私はこうなんです。」
「私はこうなんです。」
それは置き続ける。
でも戦わない。
あなたの事情のことも理解したいし共に歩んでいく道を探りたいって思ってる。
そして私としては、私の側はこうなんですっていうのを、ずっと「ないことにしない」で居続けるっていう、その胆力を試される。
そういうことが本当に結婚3.0築いていこうと思ったら、しょっちゅう生じるわけなんです。
潜水艦の戦闘は、文字通り本当に命かかっています。
が、リアルな人間関係でも、命かかってるくらいの脅威を感じることがよくある。そしてそれは、子どもの時に実際命かかってるほどの恐怖っていうか、脅威っていうかを感じてた、それが再現されているから。
それでも、自分も相手も大切にし続けられるような関係を、築けるようになりたいと思いませんか。
この道は楽じゃないけれど、ほんとおもしろいですよ。
(ということで映画がどういう結末を迎えるのかは、ぜひ本編をご覧になっていただいたらなと思います。)




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